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理事長・病院長雑感(南から~)



新人オリエンテーション
理事長 八尋 克三
八尋理事長
新入職員へのオリエンテーションでは、どのような思いを込めて南部病院を開院したのかを、伝えることにしています。そういう話になると、医師になりたての頃の自分を振り返ることになり、行きつく所はいかに多くの患者さんから育てていただいたのかを思い出すことになってしまいます。

そこで今回は、医師になりたての頃に育てていただいた方のことを書いてみます。新人医師が「役立つため」最初に習得しなければならないのは、採血と点滴なのです。こればかりは、すこしだけ天分?もあるかもしれませんが「場数を踏む」ことでしかうまくなりません。同級生同士で練習し、実践に臨みますが、若い健康な血管でいくら練習してもうまくいくはずもなく、つまりは患者さんの涙を見ることになり、新人医師の僕たちは落ち込む日々が続くのです。
卒業研修は鹿児島大学の内科で始めました。最初に担当させてもらったのは糖尿病の患者さんでした。ここの内科は糖尿病を専門にしていたこともあり、指導医からは1日に6回(朝、昼、晩、寝る前に加えて深夜と明け方)の採血指示が頻繁に出されました。ここの内科病棟では採血は医師の仕事でしたので、深夜と明け方の採血だけのために泊まり込むことが多かったのです。この時の僕の受け持ち患者さんは小太りの60台後半のご婦人でした。体型から血管が触れにくく、新人が採血するには、ちょっとしんどい患者さんでした。それでも担当医として指導医の指示に従って、治療効果判定のために何日も何日も深夜の採血をさせていただきました。深夜に寝ている婦人を起こしては、下手な僕が採血するわけですから、たいへん気の毒であり、新米の当方としては汗をかきながら、お詫びしながら、ひたすら一生懸命の採血でした。そのようなことが続くうちに、深夜に採血だけのために泊まり込む僕への同情もあってか、心も打ち解けお互い戦友みたいな関係になってきました。

そのうち、彼女は採血する腕を温めて待っていてくれ、「ここよ。ここにあるよ」と採血しやすい血管を教えてくれるようになりました。もちろん、日中も診察や採血などで足しげく通っていましたので、同室に入院中のこれも小太りの30台婦人とも親しくなりました。この方は病棟では名うての採血が難しい方で、多くの主治医が泣かされていたのでした。長く入院されていたこともあり、彼女を中心にして、どの医師が採血上手かを同室の患者さん同士で採点しているようなところがあったようです。

そのうち僕に名うての彼女の採血当番が回ってきたのですが、すでに顔見知りで親しくなっていたこともあり、彼女だけが知っている?秘密の?細い血管を教えてくれたのです。これで「八尋はうまい」という内科病棟での評価があがり、若い僕はその気になって、勘違いが自信となりどんどん腕を挙げたのでした。

話としてはこれだけのことですが、このお二人との交流から、まずは患者さんと親しくなり、可愛がっていただかないといけないのだなと若い僕は気が付いたように思います。
後日、退院された大口市の「戦友」のご自宅を訪ねたことがあります。温厚な笑顔と縁側の陽だまりに映えるたくさんのつるし柿を鮮やかに思い出しています。

理事長似顔絵

この話の本筋とは関係ないのですが、陽だまりに映えるつるし柿は鮮やかに思い浮かぶのに、この心満たされたドライブを誰と行ったかどうしても想い出せないのです。
次回も医師として育てていただいた恩人の思い出を書きたいと考えています。

過去の理事長の挨拶・雑感

▶ 理事長 八尋 克三
【胃・腸・膵臓・胆石症】

昭和46年 鹿児島大学医学部卒
日本外科学会指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器外科学会会員
日本肝胆膵外科学会会員
日本臨床外科学会会員

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